【読書の話】他者との比較の落とし穴
連休中に面白い本を読みました。
佐々木チワワさんという著者の【「ぴえん」という病-SNS世代の消費と承認】という本です。
SNSによる絶えまない情報流入と他者との比較、そして満たされぬ自己承認欲求。
精神的にも金銭的にも過激になっていく若者の姿が描写されています。
特にSNSにより「推し」の対象がアイドルから一般人へと大衆化され、
他者より目立つために金銭消費や行動(推し活)が過激になる描写はとてもリアルでした。
投資における「心理的バイアス」にも似てるな~・・・といった感じで興味深く読ませていただきました。
目次
①他者との比較と後悔回避バイアス
SNSにより常に不特定多数との比較が簡単になりました。
そして人と比較し、目立つことが目的の一つとなっています。
本の中では、これが「推し」への過剰な投げ銭や自傷行為のアップ等により描写されています。
投資の世界でも同じことが言えそうです。
「仮想通貨で〇百万円稼いだ」「株式投資でFIRE達成!」といった極端なワードがあふれています。
一握りの勝者と自分の成績を比較すると、自分が敗者のように感じるもの。
これは「後悔回避バイアス」といわれ、他者の成功が、自分の失敗そのものより大きな失望感をもたらします。
これが「乗り遅れたくない」という心理につながり、過剰なリスクテイクの要因に。
仮想通貨やミーム株のブームも、このような心理に通じているのだと思います。
②満たされぬ欲求と生存者バイアス
本の中では、「推し」から特別だと認知されるため、身を犠牲にして貢ぐ若者が描かれています。
自己承認を満たすための「人との比較」がキーとなっています。
ネットで検索すれば、上には上が出てきます。
例えば「10万円儲けてラッキー」とSNSでつぶやきます。
するとサジェスチョンには「〇〇で100万円儲けたった」みたいな投稿が表示されます。
仮に数千万円稼いでも、「FXでゼロから〇億円儲けた」といった投稿に行きつきます。
SNSはこの「もっと上を」という傾向を助長します。
一握りの幸運を手にした人の声は誇張され、バズるからです。
すると勝者しか目につかない「生存者バイアス(survivership bias)」の餌食になります。
同じように投資して大金を失った人がたくさんいることを忘れるべきではないでしょう。
上昇志向は悪いことだとは思いませんが、絶え間ない比較は、欲求不満のもとです。
本書の教訓
本書を通じて、以下の点が必要かなと感じました
①他者と比較せず、ほどほどで満足する
②ほどほどを達成した自分を肯定する
名前も知らない誰かと自分の成績を比較しても何の役にも立ちません。
ここ数年の誰でも稼げた市場を経た後では、ほどほどで満足するのが重要になってくると思います。
そして、ほどほどの結果に対し「小さなご褒美で祝うこと」は投資本でも推奨されています。
自分の身の丈に合ったほどほどの投資を心掛けたいと思います。