【投資で学ぶ英語術】されどコロナに踊らされ~PayPal~

今週もコロナ禍で大きく上昇したテック銘柄の受難が続いています。
11/9には決済サービス大手のPayPalが約10%下げました。

記事

(英文)
PayPal reported revenue growth for the third quarter of 13% on Monday and said it’s teaming up with Amazon to let U.S. customers pay with Venmo at checkout, starting in 2022.
However, after initially rising in extended trading, PayPal shares reversed course and fell 5% after the company issued a revenue forecast for next year that missed analysts’ estimates.
Total payment volume rose 26% to $310 billion for the quarter ended Sept. 30, and the company added 13.3 million net new active accounts, bringing the total to 416, PayPal said in a statement.

Earnings per share: $1.11, adjusted, vs. $1.07 expected in a Refinitiv survey of analysts
Revenue: $6.18 billion vs. $6.23 billion expected

(内容)
月曜日、ペイパルは第三四半期の売上が13%伸びたこと、2022年にアマゾンでベンモによる決済が可能になると発表。
しかし、時間外取引で一時上昇後、ペイパルの株価は5%下落。次年度の収益予想がアナリスト予想を下回ったため。
決済額は前年同月比26%成長し、3,100億ドルに。アクティブアカウントの数は1,330万人増え、4.16億人に。

一株利益:調整後で1.11ドルVSアナリスト予想1.07ドル(↑)
収益:618億ドルVSアナリスト予想623億ドル(↓)

CNBC/2021/11/8より

頻出単語

miss:未達、達しそこなう
ここでは、収益目標等の「未達」を意味します。
何かを失うという意味ではありません。

net:純~
増加と減少を差し引いた正味の増減を意味します。
「net active accounts」で、新規顧客から利用をやめた顧客を差し引いた正味の顧客増減を表します。
ユーザー数がカギを握るビジネス(サブスクや携帯電話会社等)で重要な単語です。

PayPal企業情報

・株価:204.64ドル(11/10終値)
・配当:0ドル
・一株利益:3.58ドル(2020年12月期決算)
・概要
売上高が3兆円に迫る電子決済サービス大手。PayPalやVenmoなど複数のブランド所有。
コロナ禍のオンライン・非接触決済の流れに乗り成長加速。

短評

売上が期待値を下回ったことで、成長鈍化と捉えられ株価が大きく下落しました。

しかし、PayPalはコロナに関係なく成長を遂げている企業です。
確かにコロナの恩恵を受け、2020年度は成長を加速させましたが、過去数年でみても平均で20%程度の成長を実現しています。

PayPal年度決算(2016年度~2021年度通期予想)

非接触決済・オンラインショッピングの成長は変わらないトレンドです。
PayPalはPelotonのような一部のステイホーム銘柄ではありません。
(【投資で学ぶ英語術】されどコロナに踊らされ~Peloton~

今回の下落は、高すぎたバリュエーションの調整だと思います。
上記の推移を見ても、利益の成長以上にPERが一気に切りあがっています。

安定成長銘柄のはずが、コロナ禍で思わぬ下駄をはかされたが故の下落だと分析します。

買い時は?

安定した成長が見込めますが、それでもまだバリュエーションが高いと感じます。
特に、収益性の低さが気になります。

例えば売上が同規模のクレジットカード決済大手のVisaと比べてみましょう。

売上営業利益営業利益率フリーCFCFマージン
Visa229.7億ドル150.0億ドル65.2%120.4億ドル52.4%
PayPal214億ドル32.9億ドル15.3%49.8億ドル23.2%
数字はいずれも2020年度決算

売上の伸びはペイパルが上回っていますが、収益性は圧倒的にVisaに負けています。

CFマージンをご覧ください。
Visaは100ドルの売上に対し、52.4ドルのキャッシュを生み出しています。
一方ペイパルは100ドルの売上に対し、23.2ドルとVisaの半分しかキャッシュを創出できていません。

加えて、PayPalは売上は伸びているもの、収益性はあまり伸びていません。
Paypalの営業利益率は2013年以降14~16%で安定。
CFマージンも20%前後でそれほど伸びていません。

バリュエーションはどうでしょう?

予想一株利益株価予想PER
Visa7.03ドル215.56ドル30.6倍
PayPal3.64ドル204.64ドル56.2倍
株価は2021年11月10日の終値

PERだけで判断はできませんが、収益性からみてPayPalはまだ割高です。
今買うならVisaの方が良いと思います。
個人的にはVisaも割高だと思いますが・・・

短期的に下げたといっても、しばらくステイでも問題ないと思います。
利益率が上がり、高収益・高株主還元の企業に成熟した時が、PayPalの買い時です。

数年先にはなるでしょうが、PayPalにはそのポテンシャルはあると思います。。