【投資で学ぶ英語術】されどコロナに踊らされ~Peloton~

金曜日に大きな動きを見せたのがPeloton(PTON)。
家庭用のフィットネスバイク販売及びエクササイズ番組のストリーミングで稼ぐ企業です。

記事

(英文)
Peloton — Shares of the exercise bike company tumbled more than 35% after the firm reported weakening sales growth and a wider-than-expected loss in its fiscal first quarter. Peloton also slashed its outlook for the full fiscal year amid softened demand for its exercise equipment and ongoing supply chain challenges. Several Wall Street investment firms downgraded the stock following Peloton’s dismal results.

(内容)
ペロトン
エクササイズバイク企業の株価が35%以上急落。
第一四半期決算で弱い売り上げの伸びと予想よりも大きな損失を出したことが原因。
ペロトンは、エクササイズ器具への需要鈍化とサプライチェーンの混乱により、年度の決算見込みを切り下げ。
複数のウォールストリートの投資会社がペロトンの残念な決算をもとに、株価の見通しを引き下げた。

CNBC/2021/11/8より

頻出単語

tumble:崩壊する、急落する
株価が暴落した際に使われます。
何かが「転げ落ちる」するイメージです。


challenge:難題
克服すべき難路・課題を意味します。
「新しいことにチャレンジする」というポジティブな意味ではないので注意です。
「supply chain challenge」でサプライチェーン上の問題です。

downgrade:格下げする
文字通りグレードを下げる意味です。
株価の見通しや債務の信用格付けなどを引き下げる際に利用されます。
投資会社等が見通しを格下げした際には株価が大きく動きやすいため要注意ワードです。
(例)The credit rating of A was downgraded to BBB from A-.
(訳)Aの信用格付けがシングルAマイナスからトリプルBに格下げされた。

Peloton企業情報

・株価:55.64ドル(11/05終値)
・配当:0ドル
・一株利益:-0.64ドル(2021年6月期決算)
・概要
エクササイズバイクを販売し、ストリーミング動画配信による継続課金で稼ぐビジネスモデル。
フィットネス業界の「ネットフリックス」とも。

短評

Peloton業績推移

ステイホームの恩恵を最大限に受け、売上高は約2.2倍に。

その一方で、マーケティングコスト等により赤字額は前年より大幅に増加しています。

バイクを売って、エクササイズ動画の課金収入で稼ぐというビジネスモデルは面白いです。
ペロトンのバイクは日本円で約25万円もします。
「使わないともったいない」という人の心理をくすぐり、稼ぐ仕掛けとなっています。

人は「サンクコスト」、つまり既に払ってしまったお金に執着します。
取り戻すことはできないのに、「元を取ろう」という意識が働くからです。

会員費を徴収し、購買をあおるコストコに似たビジネスモデルといえます。

25万円の出費は人の心理に影響を与えるに十分すぎる金額と思われます。

買い時は?

株価が暴落したといっても、コロナ前の水準は大幅に上回っており、今から投資する対象ではないでしょう。

ネットフリックスやコストコの会員費と比べ、ペロトンは利用者のイニシャルコストが高すぎます。

コロナが沈静化し、他の娯楽も選択できる状況で、何十万もするエクササイズバイクを買うでしょうか?

加えて事業の発展性に乏しいと思われます。
ネットフリックスなら、「アニメやドラマのifシナリオを楽しめるゲーム」を開発するなどの応用が利きます。

一方、ペロトンのようにニッチマーケットに絞っている場合、ネットフリックスのような発展は困難でしょう。
健康アプリやアパレル商品も既に競争過多です。

コロナ初期にペロトンに目を付けた投資家は素晴らしいですが、話はここで終わり。

面白いビジネスモデル=魅力的な投資対象ではないことを教えてくれる銘柄かと。

Peloton株価推移(2019年11月~2021年11月)