【投資で学ぶ英語術】今日の銘柄(Snap~スナップチャットの実力は?)
金曜日に大きな動きを見せたのがSnap。
写真・動画共有アプリのスナップ・チャットの運営会社です。
目次
記事
(英文)
Snap – Snap shares plummeted by more than 24% after it reported its quarterly results, which included a revenue miss as well as an earnings beat. The social media company said its advertising business declined due to Apple’s privacy changes.Facebook, Twitter – Social media and digital advertising stocks dipped following Snap’s insights into the impact of Apple’s privacy changes. Facebook shares pulled back 5.6% and Twitter shares fell 4.2%
(内容)
スナップの株価が、四半期決算を発表した後に24%以上下落。
利益目標は上回ったが、売上が目標を下回った。スナップは、アップルのプライバシーポリシー変更に伴い、広告収入が下落したためだとコメント。フェイスブックやツイッターといったデジタル広告銘柄も、スナップのアップルに関するコメントを受けて下落。
https://www.cnbc.com/2021/10/22/stocks-making-the-biggest-moves-midday-snap-intel-moderna-digital-world-acquisition-corp-and-more.html
フェイスブックは5.6%、ツイッターは4.2%下落。
頻出単語
plummet:急落する、まっすぐ落ちる
株価が暴落した際に使われます。
何かが「垂直落下」するイメージです。
dip:下げる、ちょっと浸す
株価などが少し下げた際に使われます。
クリームをすくうために、クラッカーを少し沈めるイメージです。
plummetと異なり、暴落のイメージではありません。
Snap企業情報
・株価:55.14ドル(10/22終値)
・配当:0ドル
・一株利益:-0.65ドル(2020年度決算)
・概要:写真・動画共有アプリのスナップチャットで急成長。売上は前年同四半期比で57%増加し、22年度には黒字転換も視野。
短評
典型的な期待先行銘柄
前年より売上が57%も伸びていますが、市場予想を下回ったために大きく売られました。
そして、売上が伸びてもいまだに利益は赤字です。
Snapのような企業は高い成長期待のみによって買われており、期待を裏切ると強烈なカウンターを食らいます。
IBMが低調な決算で10%ほど下げましたが、期待のみで買われているSnapの下落はその比ではありません。
【投資で学ぶ英語術】今日の銘柄(IBM~永遠の不発弾~)
期待に応えるか裏切るかのみで株価が振れるので、今投資するのはギャンブルと変わりません。
いくら成長しようとも、高すぎる期待に合わなければ、「期待外れ」の烙印を押され株価が下がります。
ドラフト1位のスター候補が期待通りに活躍できなければ、ファンから叩かれるのと同じです。
慎重な投資家は避けるべき銘柄でしょう。
高すぎるバリュエーション
Snapが順調に成長を続けても、割高感は否めません。
下の図は超ポジティブなシミュレーションです
・2017年~2020年の3年間と同じ売上の成長(1年で約45%)
・2023年の純利益率が20%に改善
年度 | 2017 | 2020 | 2023 |
---|---|---|---|
売上 | 825 | 2506 | 7612 |
純利益 | -3445 | -926 | 1520 |
株式数 | 1222 | 1503 | 1841 |
一株利益 | -2.82 | -0.62 | 0.83 |
PER | 66.8 |
売上が3倍になり、純利益率が20%になるというあり得ないポジティブなシミュレーションでも、
現在の株価を維持するためには3年後にPER66.8倍が必要です。
現在の株価を維持するだけでも困難であることが分かります。
そもそも現在赤字の企業が3年で利益率20%の高収益企業になるなど不可能でしょう。
加えて新興企業は事業拡大のため、追加で株式を発行します。
お金が無いため、ストックオプションで報酬を払うことも多く、オプションが行使されるごとに株式数が増加。
これが投資家の権利たる一株利益を押し下げる方向に働きます。
これも株価にとってはネガティブです。
信頼ならぬ指標
Snapの投資家向けスライドも眉唾物です。
48ページのほとんどが、「成長見込み」「事業機会」に費やされています。
最初に来るのが「一日の利用者数(daily active users)」です。
顧客を獲得するのは結構なことですが、それをどう利益に結び付けるかのメッセージが曖昧です。
新興企業では、「利益」ではなく、このような独自の指標で成長をアピールしがちです。
しかし、いくらユーザーが増えても、それを収益化できなければ投資家には一円の利益にもなりません。
成長を素晴らしものに見せる指標は要注意です。
買い時は?
無事収益化を実現し、安定して利益を得られるようになるのを見守りましょう。
株価が暴落したからといって、今投資するのはギャンブルと同じです。
素晴らしい企業は、大きなリスクを負って赤字の時代から保有しなくても、利益をもたらしてくれるものです。