【投資で学ぶ英語術】米国メガバンクの決算(10月15日)

メガバンクの決算を皮切りに、米国の決算シーズンが到来しました。

今回はメガバンクの記事から、バンクオブアメリカとウェルズファーゴをピックアップ。
決算に頻出の単語を紹介しつつ、決算の中身も見ていきます。

両社は米国で2・3位のメガバンク。
売上に当たる収益が10兆円近くあり、なんと三菱UFJの約1.5倍です。

米国メガバンクの決算は米国経済を占ううえでも注目されています。

バンク・オブ・アメリカ

(英文)
Bank of America posted third-quarter results on Thursday that exceeded analysts’ expectations as it benefited from better-than-expected loan losses and record advisory and asset management fees. The company’s profit surged 58% to $7.7 billion, or 85 cents a share, as revenue climbed 12% to $22.87 billion. Results were helped by a $1.1 billion reserve release that led to a $624 million boost after charge-offs.

Shares of the bank climbed 2.5%.

(内容)
バンクオブアメリカが第三四半期決算を発表。予想よりも良化した貸し倒れ損失と、記録的なアドバイザリー・資産運用手数料により、アナリストの期待を上回った。収益が12%増の228.7億ドル(約2.5兆円)となり、利益は58%増の77億ドル(約8,000億円)、一株利益は85セントとなった。11億ドルの貸倒引当金の戻し益が寄与した。

株価は2.5%上昇

https://www.cnbc.com/2021/10/14/bank-of-america-bac-earnings-q3-2021-.html

頻出単語

analysts’ expectations:アナリスト予想
バンクオブアメリカをリサーチしている証券アナリストの予想です。
米国人は株価の論評が大好き。
増益云々よりも、アナリストの予想との比較が株価に大きく影響します。

アナリスト予想を信じると痛い目にあいますが。

revenue:総収入、profit:利益
似たようなニュアンスで訳されがちですが、異なります。
Revenue(収入) - Cost(費用) = Profit(利益)です。

「Sale」と「Revenue」も似たような意味で使われますが、「Revenue」は総収入を意味します。
銀行は手数料のような売上だけでなく、証券の配当や利息でもお金を稼いでるので、「Revenue」を使います。

逆に、メーカーなどは「Sale」を使うことが多いイメージです

ウェルズファーゴ

(英文)
・Net income: $5.1 billion, a 59% increase from $3.2 billion during the same quarter a year ago.
Earnings per share: $1.22 a share, adjusted, topping the consensus estimate of 99 cents per share, according to Refinitiv.
・Revenue: $18.83 billion, compared with consensus estimate of $18.35 billion.

Results were helped by a $1.65 billion reserve release that led to a $1.4 billion benefit after charge-offs, the bank said. Wells Fargo continued to release funds it had set aside during the pandemic to safeguard against widespread loan losses.

Shares of the bank dipped 1.6% on Thursday following the earnings announcement.

(内容)
純利益は51億ドルで、1年前の32億ドルより59%増加。
1株利益は1.22ドルで、コンセンサス予想の99セントを上回った。
収益は188.3億ドルで、コンセンサス予想の183.5億ドルを上回った。

高収益は、16.5億ドルの貸倒引当金の戻し益に助けられた。今後もコロナ禍で積立てられた引当金を戻し入れる予定。

株価は、決算発表を受けて1.6%下落。

https://www.cnbc.com/2021/10/14/wells-fargo-wfc-earnings-q3-2021.html

頻出単語

earnings per share:一株利益
一株当たりの儲けで、純利益÷株式総数で計算されます。
株主の儲けは一株利益×保有株数なので、投資家にとっては利益の絶対値よりもこちらが重要です。

PERの算出根拠にもなります。

consensus estimate:コンセンサス予想
投資家の予想平均値です。アナリスト予想とほぼ同義と捉えて問題ないかと。
「consensus」は「同意」という意味で、投資家の平均的な期待値を表します。

決算の中身は?

両社ともに市場予想を上回る決算でした。

しかし、バンカメの株価が上昇したのに対し、ウェルズは下落しました。
ウェルズは増配と自社株買いの増加まで発表したのに・・・

理由はおそらくウェルズの「純金利収入」が減ったことかと。
純金利収入は銀行の本業であるローンによる収益です。
バンカメが10%増であったのに対し。ウェルズは5%減っています。

日本の銀行も同様、投資銀行業務の手数料やフィンテック等に収益の多角化を図っています。
しかし、銀行の役割はやはりローン。

この部分での弱さは、ウェルズが過去の不祥事によるダメージから立ち直っていない証拠であり、株価の下落につながったのかと。

投資判断

個人的にはどちらも投資候補外です。
理由は、他の銀行と比べても配当利回りが低いこと。

銀行なら最低3%は欲しいところ。

成長率が高いわけでもなく、為替リスクを負って値上りを狙うほどの魅力を感じません。
これなら黙って三菱UFJを買います。

株価一株配当配当利回り最低投資金額
バンクオブアメリカ45.07ドル0.84ドル1.94%5,138円
ウェルズファーゴ45.31ドル0.80ドル1.73%5,165円
三菱UFJ657.1円27円4.11%65,710円
株価は2021年10月15日現在。1ドル=114円で計算

決算は見てるだけでも楽しいので、今後もウォッチしていきます。