【他人に頼ることなかれ-①】プロの予測は役に立つ?
市場の値動きが荒くなってきましたね。
9/28の米国市場ではダウ平均が1.6%、ナスダックが2.8%下落。
つられるように9/29の日経平均も2.1%下落し30,000円台を割り込みました。
先週も市場が大きく下落し、その後すぐに反発するなど、投資家が恐怖と期待の間で神経質になっている様子が見て取れます。
変動が激しくなると、先が見通せず、自身で投資判断を行うのが怖くなります。
こんな時どうすればよいのでしょう?
素人考えは捨てて、専門家の予測に頼るべきなのでしょうか?
答えは否です。
専門家に頼るよりも、自分の心の声を聞き、自分の意見を持つことが重要だと考えます。
以下、専門家の意見に頼ることのリスクを検証してみます。
目次
同じようなデータとツール=同じような予測
専門家が予測に使用するデータは似たり寄ったりです。
市場全体であれば
金利・インフレ率・GDP成長率・為替レート・貿易収支 など
個別銘柄であれば
売上や利益成長率・キャッシュフロー・PER(株価収益率)・直近の値動き など
そして専門家はプロとしての責任が求められるため、直感に頼ることはできず、確立された手法を用いて予測をすることになります。
結果として、予測の内容や意見も似たり寄ったりになります。
そして多くの専門家が似たような予測をしていると、それが事実のように聞こえてきます。
ここに落とし穴。
市場や個別銘柄を客観的なデータや確立された手法だけで正確な予測するのは不可能です。
必ず予想外の出来事や人間の心理が割って入るからです。
「多くの専門家が言っているから」というのが信頼できるのであれば、今頃もっと多くの人が金持ちになっているはずです。
残念ながらそうなっていないことは、歴史が証明済みです。
極端な意見は取りづらい
専門家側の心理的な制約もあります。
彼らは、もっともらしい予測をすることで、お金を稼いでいます。
極端な予測をして外れた場合、彼らの信用に傷をつけ、職を失うことにもつながります。
「株価が急落する」等といった極端な意見は、内心そう思っていても取りづらいのです。
専門家の日経の平均株価の予測などを見てみるとわかります。
先週の終値が30,000円だった場合、専門家の予測は大体は下のようになります。
専門家
「今週の予想レンジは29,800円から30,500円。緊急事態宣言解除による期待がある一方、海外情勢に左右される展開に」
しかし、これが何の役に立つのでしょう?
結局何が言いたいねんという感じではないでしょうか。
自分で個別銘柄をリサーチする方がずっと有益です。
下手な鉄砲も数撃ちゃ当たる
中には極端な意見を持つ専門家もいます。
「リーマンショックを予知した伝説の投資家」などといった具合です。
しかし、これは完全に後付けの眉唾物です。
「バブルの崩壊」といった極端な予測でも、ずっと主張し続けていれば、そのうちあたるものです。
また、極端な予測を連発すれば、ラッキーヒットに恵まれることもあるでしょう。
たちが悪いのは、極端な予測がたまたま当たった場合、その専門家が将来を見通す預言者のように扱われることです。
彼らの予測が次も的中する保証はどこにもありません。
同じような退屈な予測が多い中で、極端な予測は刺激的に映るもの。
しかし、「そんな意見もあるんだな」と話半分で聞いておくのが賢明です。
専門家=先生?
これは日本に特有の現象かもしれませんが、専門家の予測に対する反論が異常に少ないのが気になります。
TVや新聞でも、専門家の予測が、あたかも事実のように無批判で紹介されます。
そして、事後的な検証もほとんどされていません。
経済番組でも、株式アナリストと為替アナリストなど、分野が異なる専門家を一人ずつ呼ぶような感じです。
残念ながら、専門家同士が互い批評しあい、意見をぶつけるなどといった光景は見られません。
専門家が、事実を教える先生のように扱われていることにすごく違和感を感じます。
株式投資に限らず、無批判な予測や意見を鵜呑みにするのは非常に危険です。
まとめ
専門家の意見を参考にする際に気を付けないといけないのは、一方向になりやすい所です。
そして、多くの専門家が同じことを言っている時、それが無批判に受け入れられている時こそ要注意です。
「専門家Aさんはこう言っている。しかし、自分はこう考える」というスタンスが必要です。
特に相場の変動が激しく、予測が役に立たないときは。