【心を鬼に】配当株でも損切を

2022年1月13日

配当株投資の基本はバイ・アンド・ホールドです。
株を売ってしまうと、もらえる配当が減ってしまうからです。

以前に、配当株に含み益が発生した場合の対処法について投稿しました。
【含み益と上手に付き合う】配当株の売り時は?

本稿では、配当株の損切ルールについて考えたいと思います。

配当株の損切のタイミングは簡単です。

「配当」という目的を達せなくなった時、すなわち配当が減らされた時です。

逆に絶対にやってはいけないのは、配当という目的を失ったにも関わらず、だらだらと保有すること。

以下具体的に説明します。

減配したらすぐに損切

配当目的で買った株が減配したら、損失が出たとしてもすぐに売りましょう。

なぜなら、「配当を受け取る」という当初の投資目的を満たせないからです。

目的に合わなくなったものは、早々に処分すべきです。
そうしないと、投資方針が曖昧になり、目的のない銘柄がポートフォリオに残り続けてしまいます。

大抵の株は、減配が発表されると株価が下落します。
損失を確定するのは苦しいものですが、心を鬼にして損切します。

「株価が回復するかも」や「すぐに元の配当に戻るかも」等と保有を続けるのは避けるべきです。
これは自分の間違いや損失を認めることから逃げているだけです。

損切をしなければ投資資金が塩漬けになり、別のチャンスを逃すことにもつながります。

自分のリサーチ不足と失敗を認め、反省を次につなげることが重要です。

配当が業績に連動する株はどうでしょう?
そういう株は経済状況との連動が高く、そもそもが不安定であり、配当目的で保有するには不適格です。

勝手なストーリーを作らない

減配により株価がに下落しても、その後回復することはあります。

私の例で言えばウェルズ・ファーゴ。

ウェルズ・ファーゴ
2020年12月期の売上高は約478億ドル(約5.3兆円)を誇る米国の4大銀行の一つ。
不正営業の制裁金として、2020年に30億ドル(約3,300億円)をSECに支払い。
同年にはコロナ禍における銀行の資本規制により80%の減配を実施。
株 価 :47.92ドル(2021年9月24日現在)
一株配当:0.80ドル(配当利回り1.67%)

不祥事からの株価回復期待と高配当利回りで保有していましたが、配当が80%減らされたため、損切しました。
210ドル(約23,000円)の手痛い損失となってしまいました。

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その後、コロナ禍からの回復期待により、株価は戻りました。
現在は私の買ったときとほぼ同じくらいです。

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これはあくまで結果論。
大きく下落した株価がもとに戻る保証はありません。

さらに値下がりして紙屑になることも十分ありうるシナリオです。

株価が半額になり、損切する時は苦しい思いをしました。
しかし、低配当かつ大きな損失が出ている株を保有し続けることの方がよっぽど精神衛生上よくありません。

むしろ損切が遅すぎたと反省しています。
「配当」という目的が達せられないのであれば、もっと早く損切すべきでした。

「減配により財務が安定する」や「減配分を成長投資に回せる」などといった勝手なポジティブストーリーを作るのはご法度です。

減配リスクを事前にチェック

このような事態をなるべく避けるためには、事前にキャッシュフローをチェックするのが欠かせません。

現金配当は企業が稼いだキャッシュから支払われるもの。

利益よりもキャッシュを調べることが重要です。

簡単なチェック方法としては、フリーキャッシュフローと配当の支払い額を比べることです。
以下、2020年度のキャッシュフロー計算書をもとにいくつかの例をあげてみます。

高配当株の多い生活必需品からピックアップしてみます。

銘柄営業CF設備投資フリーCF支払い配当配当割合配当割合
(過去5年平均)
コカ・コーラ9,8441.1778,6677,04781.3%94.0%
ユニリーバ10,93393210,0014,27942.7%46.0%
ペプシコ10,6134,2406,3735,50986.4%74.9%
※CF=キャッシュフロー。単位は百万ドル(ユニリーバは百万ユーロ)

例えば、コカ・コーラ。
過去58年連続で増配していますが、フリーキャッシュフローのほとんどを配当に充てています。
すぐに減配するとは思いませんが、収益を拡大できなければ増配が鈍る可能性は高く、注意が必要かと。

1年だけで評価をすることはできません。
配当は過去に蓄えた現金からも支払うことができるからです。

しかし、フリーキャッシュフローに対する配当の割合が恒常的に高い場合、増加している場合は要注意です。

配当支払いの余裕が減ってきていることの証だからです。

まとめ

配当株投資の基本がバイ・アンド・ホールドです。

しかし、その目的に合わなくなった銘柄は早々に処分すべきです。

数セントのわずかな減配で、依然高配当である場合はホールドでもよいかもしれませんが、あくまで例外です。
余裕があれば減配はしないはずだからです。

自身が何の目的でその銘柄を買ったかよく考え、目的から外れた銘柄は処分すべきです。

配当が払えない元高配当株は紙屑と思った方がよいでしょう。