【1月効果?】市場の楽観~ユーフォリア~
2023年に入り米国株式市場が好調です。
1月効果なのかもしれませんが、楽観が行き過ぎのような気がします。
一方、予想外に株価が上がる中で買いを控えるのもフラストレーションがたまります。
「買い時を逃したか?」と迷う自分を諫めるためにも、検証してみます。
目次
S&P500と金利
半月が過ぎましたが、金利の低下に伴い株価が上昇しています。
金利低下とバリュエーション
金利低下はバリュエーション(PER)に影響します。
現在の米国10年債利回りは約3.5%。
100ドル買えば3.5ドルの利子が無リスクで得られます。
このリスク無しに得られる3.5%のリターンが出発点です。
株式のリターンは一株利益(EPS)です。
EPSには変動リスクがあるので、求められるリターン(株式益利回り)は無リスク金利を上回ります。
株式益利回り=無リスク金利(国債利回り)+リスクプレミアム(利益見通し)
利益見通しが一定であれば、国債利回り低下により株式益利回りも低下します。
PERは株式益回りの逆数なので、PERが上昇し、株価も上昇します。
例えば、今月のように金利が3.75%から3.49%に低下した場合(リスクプレミアムは5%で一定)
PER=1÷(3.75%+5%)=11.42倍
PER=1÷(3.49%+5%)=11.77倍
⇒3.06%株価上昇
金利低下に伴うPERの改善で今月のS&P500の上昇率を概ね説明できます。
金利低下は行き過ぎ
依然高いインフレ率を考えると、金利低下は行き過ぎです。
米国の12月のインフレ率は6.5%。
市場予想と一致し、高過ぎず低すぎない、いい塩梅でした。
インフレがピークアウトし、Fedが利上げペースを弱めるという期待から債券買い・金利低下が進みました。
インフレ率は10%近かったピークから明らかに減速しています。
しかし、長期平均の2~3%と比べると高い水準であり、理論上は金融引締めが必要なレベルです。
実際、Fedメンバーの2023年末の想定金利は5%少々。
利上げは緩やかになるだけで終わったわけではありません。
金利の推移
インフレと利上げが話題をさらった2022年も、1本調子で金利が上昇したわけではありません。
インフレ率が8%台の中、昨年の8月には一時2.6%まで低下しています。
今後もショートスパンで金利が低下することはあるかと思います。
しかし、利上げが終了していない以上、金利が一本調子で下がっていくと想定するのは危険と考えます。
フラストレーションを抑え、高値掴みに注意したいと思います。