【ユニリーバ事変】チャンスで買えない心理学
生活必需品銘柄が高騰中との記事(【高いよ生活必需品】配当投資の受難)を書きましたが、
大きな例外がいます。
ユニリーバです。
私が最も多く保有している個別銘柄でもあります。
過去1年ほど下落傾向が続き、1月の半ばには1日で14%下落するなど激しい動きを見せています。
一方、一時的な急落は買いのチャンスのはず。
しかし、恐怖に負けて買い増すことができませんでした。
本稿ではユニリーバに何があったのか簡単に触れ、買い増せなかった要因を心理面から検証します。
目次
どうしたユニリーバ
以下の図は、2021年11月以降のユニリーバ、S&P500、ライバルとしてあげられるP&Gの株価推移です。
期間のリターンは以下の通り。
ユニリーバ:-4.6%
S&P500:-3.9%
P&G:+12.5%
過去一年で見てもS&P500とP&Gが20%前後上昇しているのに対し、ユニリーバは12%下落するなど散々です。
衝撃的だったのは、1月18日の一日で14%も下落したこと。
理由は、拒否されたにも関わらず、グラクソスミスクラインの大衆薬事業の買収計画を断念しなかったこと。
買収額は6兆円以上とされ、財務負担やマネジメント不全への懸念が強まりました。
バフェットの言う買い場
強気に買い増すべきだったと後悔しています。
というのも、買収は拒否されており、ユニリーバのファンダメンタルズには一切変化していないからです。
ウォーレン・バフェットの言う、「優良企業が一時的な理由で急落した時は買い」はまさにこのケースかと。
実際、その後わずか数日の間に
①物言う株主がユニリーバ株を買い増し
②事業再編により管理職を1500人削減
というニュースが飛び出し、株価は急反発。
急落前の水準に近づいています。
なぜ買い増せなかったのか
配当利回りの高さや、事業・財務の安定性を評価し、私は定期的にユニリーバを買い増してきました。
1年前は株価60ドルでも平気で買っていたのに、50ドル以下になった今回の急落で7株しか買えてません。
振り返れば以下のような心理に捉われたことが一因かと。
損失回避バイアス
人間は何よりも損失を嫌がります。
そして大きな損失を目にすると、身動きが取れなくなってしまいます。
これが「損切の遅れ」や「買い増しのチャンス逸失」の原因となります。
今回の私がまさしく後者に当てはまります。
大きな値動きに翻弄され、茫然自失。身動きが取れませんでした。
私がはじくユニリーバの潜在価値を株価が大きく下回ったにも関わらず、買い増すことができませんでした。
代表性バイアス
人間は本来の確率を無視して、思い出しやすい出来事・ショッキングな出来事を過大評価する傾向があります。
例えば、航空機事故の映像をみて、移動を飛行機から自動車に変えるようなもの。
実際の事故での死亡率は自動車の方がはるかに高いのに、イメージに引っ張られるのです。
今回は、「急落」というニュースに過剰反応し、「まだ下がるのでは」との恐怖に負けました。
ユニリーバの価値に影響するニュースではないのに、買い増しできませんでした。
自分に自信を持てないこと、つまり勉強不足もこのバイアスを高めます。
今回の教訓は?
今後ユニリーバの株価がどうなるかはわかりません。
しかし、自分が算定する価値を大きく下回ったのに買い増せなかった時点で私の負けです。
バリュー投資・配当投資の基礎を実践できていません。
心理的な恐怖を克服するための徹底した調査が不足していたのだと思います。
精神面の弱さ・勉強不足を反省し、今後に生かしたいと思います。