【配当投資は有効?】絶望投資家の通信簿
「配当」と連呼していますが、「本当に儲かるの?」と疑問を持つ方も多いかと思います。
一言でいえば、ボロ儲けはできないです。
株式市場が上昇トレンドにあるとき、配当投資は市場平均や人気株より低リターンになります。
その代償として得るのが、配当による心の平穏です。
このバランスは各人の選好次第で、ある種トレードオフの関係にあります。
ただし、間違いなく言えることは、「資産は一日にして成らず」です。
長期間投資を続けるのは、かなりの忍耐力が必要です。
悲観的な私は「配当」という形でモチベーションを維持し、株価下落への恐怖を和らげています。
本稿では、私のパフォーマンスとインデックス投資で人気のS&P500指数(米国の代表的な約500企業全体の株価に連動するもの)との比較を通じて、配当投資の長所・短所を紹介します。
それでは始めましょう。
目次
1:S&P500vs絶望投資家
まずは私の投資成績です。
私が投資を始めたのは、2019年の3月。
以来、入金した金額が約473万円。
現金含む現在のポートフォリオ総額は約545万円(受取配当含む)。
トータルリターンは税引き後で15.2%、年率換算すると約5.8%(税引き前で約7.7%)
配当抜きでもプラスになので、個人的にはそこそこ満足しています。
次にS&P500指数との比較です。
まずは、値上り益に着目します。
例として、S&P500指数に連動したSPDR ポートフォリオS&P 500 ETF(SPLG)を使います。
S&P500が2019年3月比で約58%上昇しており、年換算で約20%。
一方絶望投資家ポートフォリオの上昇は年換算3%程度で大敗です。
配当投資は、市場全体が上昇トレンドの場合、リターンは劣後します。
(表:SPLG株価推移.2019年3月1日~2021年8月20日)
2:リターンに占める配当の比重
しかし、配当を考慮に入れると違った世界が見えてきます。
以下の表は2019年3月からの年率リターンの内訳です。
値上り | 配当 | トータル | 配当の比重 | |
---|---|---|---|---|
S&P500指数 | 20% | 1.5% | 21.5% | 6.9% |
絶望投資家 | 3.5% | 4.2% | 7.7% | 54.5% |
いかがでしょうか。
S&P500のリターンはほぼ株価の値上がりによります。
つまり株価が上がらないと稼げません。
一方、絶望投資家のポートフォリオは、リターンの半分以上が配当に由来します。
高配当の株の多くは、元来それほど値上りが期待されていないからです。
配当の支払いが安定している限り、一定程度のリターンが確保され、株価下落時のクッションにもなります。
3:歴史的な観点から
過去数年のような株価上昇が今後も続けば、問題ないという方もいらっしゃるでしょう。
まさしくその通りです。
しかし、私は20%もの上昇が続くのは困難だと考えます。
長い目で見ると、米国株の平均的リターンは10%程度との推計があります。
2019年から5年間のリターンが長期平均の10%程度となるなら、次の3年間のリターンはどうなるでしょう。
S&P500指数の今後3年間の平均リターンは約3%にとどまります。
未来と過去が同じ動きをすることはありません。
ただ、株価の上昇が鈍る・停滞するというのは十分にあり得るシナリオです。
一方で、企業が安定して収益を上げる限り、配当によるリターンは減りません。
結論
今後、市場全体がどのように動くかはわかりません。
ただ、株価が上がらないことで心の平穏が乱されるのは、慎重な判断の敵です。
であれば、コツコツと株を買い、配当を積み上げていくスタイルも一案です。
株価指数が連日高値を更新するような状況が「気持ち悪い」と感じる方。
目先のリターンには目を瞑り、じっと耐える時だと割り切るのも必要かもしれません。