個人向け国債のCMに思うこと
最近”個人向け国債”のCMをよく見ます。
財務省も専用ページで7本の新規動画を公開する力の入れよう。
国債のCM自体は初めてではありませんが、どこか違和感を感じます。
目次
損失確定の商品を宣伝する不思議
個人向け国債の表面利率は、最も高い変動10年債で0.39%。
インフレ率が0.4%以上であれば価値は目減りします。
日銀の最新のインフレの見通しは、足元で2%強、2025年でも1.6%です。
国債のリターンは(表面利率-インフレ率)なので、当面は毎年1~2%のマイナスになります。
つまり、現時点では個人向け国債は確定損失商品です。
価値の目減りがほぼ確実な商品を、安心・安全と大々的に宣伝するのはいかがなものかと思います。
”現金よりは価値の目減りを減らせる”というのが正しい説明です。
金融政策修正の地ならし?
現在日銀はYCCの修正・撤廃を検討しています。
そこで課題となるのは、上限撤廃による金利の乱高下。
金利のボラティリティが高まると機関投資家の買いが細ります。
また、YCCを撤廃してしまえば、日銀もいつまでも国債を買い続けることはできません。
代替として個人の買いに期待しているのではないでしょうか。
金利が不安定なのは、国家のファイナンスを担う財務省にもネガティブ。
日銀・財務省両者の思惑が一致した、金融政策修正への地ならしのような。
取組自体はよいが・・・
金融リテラシーが低いと言われる日本人。
投資の第一歩として、国債をわかりやすく説明するという取組は素晴らしいと思います。
ただし、安心・安全というリターンに関わる部分は明らかにミスリード。
もう一歩踏み込んで説明すべきかと。
固定5年債の利回りが0.14%では、積極的に投資する意味も無さそう。
見どころは桜井日奈子が可愛いぐらいか・・・