【全然安くなってない】益利回りで見るS&P500
米国市場が調整モード。
アマゾンやアルファベットが弱い決算を出し、テック株が総じて軟調。
とどめを刺すように金曜日、S&P500は3.6%下落。
年初来で見ると約14%下落しています。
しかし、市場全体で見るとまだ割高に見えます。
人気のS&P500のインデックスファンド(SPYやVOOとか)を買うタイミングではなさそう。
今回はS&P500と米国債の利回り格差から検証してみます。
目次
①株式益利回り
株式益利回りはPER(株価÷1株利益)の逆数です。
投資家が支払った1ドルに対し企業がいくらの利益をあげたかを計測します。
円やユーロでも考え方は同じです。
S&P500の予想PERは4/30の時点で18.9倍。
益利回りは5.29%(1÷18.9)です。
100ドル投資した場合、投資家には5.29ドルを手にする権利があります。
利益が同じだと仮定すると、今年初めの時点では・・・
・PER:22倍
・益利回り:4.55%
株価が高いため、同じ100ドルを投資しても、投資家の持ち分は4.55ドルとなります。
②比較対象
益利回りの絶対値だけでは割安かどうかの判断はできません。
比較対象となるのは米国の10年満期の国債利回りです。
政府が保証する国債の場合、満期まで保有すれば、リターンは購入時の利回りで確定されます。
一方株式益利回りは、企業の収益変動というリスクにさらされています。
例えば国債の利回りと株式益利回りが同じ3%の場合。
国債の場合固定で3%のリターンですが、株式益利回りは企業の収益によって1%にも5%にもなりえます。
リターンが同じなら普通はリスクが無い方を選びます。
よってリスクの分だけ、株式益利回りは国債利回りよりも高くなります。
そして、株式益利回りと国債利回りの差が大きいほど、国債との比較で株が魅力的な投資対象となります。
(株式益利回り−国債利回り)を以下スプレッドと呼びます。
③S&P500と米国債
リスクが高まっている場合、普通は国債が買われて株が売られ、スプレッドは広がります。
しかし、S&P500指数が年初来で約14%下落しているのに、スプレッドは縮小しています。
FRBが金融引締めを急ぐとの見方から、株価の下落スピードを超えて国債利回りが上昇しているためです。
スプレッドの縮小はリスクの増加と同義。
少なくとも「下落した今がチャンス!」と一気に買うタイミングではなさそうです。